SWIFTビジネスフォーラム-日本 1日目

2008年7月3・4日開催

SWIFTビジネスフォーラム2008レポート

SWIFTジャパンは、2008年7月3日と4日の両日、「日本の金融市場の成長と国際競争力」をテーマに、第2回SWIFTビジネスフォーラムを東京港区六本木ヒルズアカデミーヒルズにて開催いたしました。両日とも、ベンダーパートナーのソリューション展示・デモなど多くの情報をご提供し、来場者数は、2日間で延べ500名を超え、盛況に終わりました。

同フォーラムは、2008年度にグローバル規模で開催されているセミナーであり、今年は4月のシンガポールを皮切りに、香港、メルボルン、シドニー、台湾、上海、北京の各都市で展開し、東京は8都市目となるセミナーでした。今後は、ソウル(7月16日)、ムンバイでセミナーが行われる予定です。

7月3日 [1日目午前ハイライト]
1日目のオープニングスピーチとして、SWIFT CEO・ラザロ・カンポスが、「日本の金融界とSWIFT」をテーマに講演いたしました。カンポスは、グローバル市場において日本およびアジア太平洋地域の経済、金融市場の重要性が増しており、金融世界における比重が、西洋から東洋へシフトしていると指摘しました。このようなグローバルな潮流の中で、金融業界としてはどう取り組むべきなのか、またSWIFTに何が求められているのか、SWIFTはどう変革していくべきなのかなどについて提言を行いました。最後に、SWIFTにとって重要な可能性を持つ国として、米国と日本を列挙して締めくくりました。

続いて、三菱東京UFJ銀行・原沢隆三郎常務取締役より、「日本の金融市場の問題点および競争力強化」のための提言がなされました。講演では、東京市場の国際金融市場ランキングの順位、シェアの低迷など東京市場が抱える問題点が洗い出され、東京市場をグローバルな金融市場としての位置づけるための方策として、国内・海外双方の顧客ニーズに対応した、多様かつ高品質の金融サービス・社会インフラの提供こそが重要であると結論付けました。

国際金融市場における東京市場の位置づけとして注目を集めたのは、「City of London」による世界の金融市場ランキングでした。ロンドン、ニューヨーク、香港、シンガポールと比べても東京の評価は低く、9位と位置づけられています。日本の金融市場がこのような地位に甘んじている背景として、既得権への固執、金融・ITへの国家戦略の欠如、世界標準への戦略外交の欠如などが上げられました。国際的なグローバル金融市場に向けた努力としては、金融機関相互の密接な協働、開かれたインフラが必要であり、安定性・効率性・利便性の高い決済システムの存在は、国際金融センターが整えるべきもっとも基本的な要件であると提言しました。

1日目午前最後のセッションは、香港金融管理局のフィナンシャル・インフラストラクチャー、エグゼクティブディレクタのエズモンド・リー氏による「海外市場インフラの取り組み事例」で終了しました。講演では、香港が国際金融センターとして世界的に認知されている背景について説明があり、金融セクターをサポートする金融インフラとして、マルチカレンシーに対応した送金決済システム、証券システムの協調について紹介がありました。また、香港市場インフラのSWIFTNetプラットフォームへの移行においては、1つのシステムでローカル/グローバルな送金決済及び証券取引をカバーできる利便性が強調されました。最後に、金融インフラは、国内/地域的な金融セクターの発展に大きく貢献でき、SWIFTは金融インフラの鍵となると締めくくりました。

7月3日 [1日目午後ハイライト]
1日目午後のプログラムでは、本邦市場における海外投資家の存在感が高まる状況を踏まえ、バイサイド、商業銀行、本邦市場インフラという3つの視点から講演が行われ、後半には、パネルディスカッション、SWIFTアジア統括役員のイアン・ジョンストンによる閉会の言葉で1日目は終了しました。

午後のセッションは、シュローダー証券投信投資顧問株式会社・常務取締役の玉置圭子氏による「変革期を迎えた資産運用業―国際競争力を強化するための国際調和が急務」と題した講演で始まりました。講演では、パラダイムシフトを迎える資産運用業界におけるインフラストラクチャーの位置づけについて説明がありました。運用業における日本の資産管理環境の特殊性として、真のファンド・アドミニストレーションのアウトソーシング・モデルがないことが指摘され、日本の顧客に対し、グローバルで保有する多くのデータを駆使した分析が出来ない状況になっているという実情の報告がありました。また、世界における日本の金融市場・資本市場の位置づけとして、今やアジア地域のハブは、香港もしくはシンガポールという流れになっており、コスト面の優位性だけはなく、知識・環境の優位性、世界標準のデータ・フォーマットでのシステム同士のコミュニケーションの構築が比較的容易に出来ることが大きな優位性となっていると指摘がありました。これらの課題を克服するには、業界、協会、官民の対話が必要になっており、国際調和の取れた効率のよい資産管理体制の早期構築が強調されました。

続くセッションでは、「証券決済インフラと国際競争力」というテーマで、三井住友銀行・証券ファイナンス営業部長石塚敏夫氏による講演がありました。石塚氏は、インターネット市場が拡大した「コンテンツ」、「インフラ」、「デリバリ」という3要素を証券市場にも当てはめ、今後通信フォーマットが標準化するようになると、証券の管理・保管業務など伝統的な意味でのカストディアン業務において、大きな変化をもたらされることから、商業銀行として新しいビジネスモデルの形を提示していかなければならないと締めくくりました。

証券保管振替機構・調査企画部次長の海野俊一郎氏より「本邦市場インフラの取り組み―ISO20022/SWIFT Networkの導入に向けて」として、国際標準化に対する証券保管振替機構の対応について講演がありました。対日証券投資コストの削減と効率性向上、国際的孤立の回避、運用会社を含む市場参加者のアクセジビリティの向上、CSDリンケージ拡大への対応などを解決する方策として、日本の決済インフラとしては初となるISO20022/SWIFTNetworkの導入について説明がありました。

1日目の最後に展開されたパネルディスカッションにおいては、SWIFTビジネスフォーラムの主題である「日本における金融市場の成長および国際競争力」をテーマに、証券投信投資顧問・常務取締役の玉置圭子氏、三井住友銀行・証券ファイナス営業部長の石塚敏夫氏、証券保管振替機構・調査企画部次長の海野俊一郎氏をパネリストとしてお招きしました。またモデレーターは、SWIFT日代表の渡部吉昭が務めました。

パネルディスカッション冒頭では、麗澤大学経済学部教授である中島真志氏より、東京市場の世界の金融センターとしての国際競争力の停滞という本セミナーを通じて課題となっている点が再度指摘され、各パネリストからは、異なる視点からの問題の本質についての指摘、そして今後に向けた提案が積極的に議論されました。中島教授からは、そもそも日本国家としての金融産業に関する国家戦略、金融立国としての志が欠けているのではないかと問題提起がなされ、日本は製造業を中心としたものづくり国家論が前提にあり、製造業のサポートとしての金融業になっていると指摘がありました。アジア諸国が少子高齢化を迎える中、製造業だけに頼のではなく、付加価値の高い産業にシフトしていく必要があると提案されました。